物語の舞台は、昭和60年の東京。痴情のもつれから、アパートの一室で放火殺人が発生する。拘捕された池松律子（松本まりか）と、死亡した小説家・君塚公允は幼馴染だった。事情を担当する検事・津田口の取り調べにも、どこか浮遊しているような態度でするりと躱していく律子。津田口は事情の真相を追って、これまでに律子と関わってきた人物達と接触し始める。次第に明らかになってくる律子の数奇な人生と、彼女を取り巻く男たちの姿。しかし、彼らが口々に証言する律子の印象は、すべてがバラバラであった。津田口は事情を深追いするほどに、徐々に律子という人物そのものに傾倒していく。やがて津田口は、律子と公允が幼少期を過ごした昭和30年代の青森・津軽に、この殺人事情の真相を解くカギがあると睨み始める。律子と公允の父親たちが津軽民謡の同じ一座で活動していたこと、そして、そこで起こったある事情。律子はなぜ公允を殺したのか。二人の過去に一体何があったのか。すべての真相が明らかになるとき、閉ざされていた因縁が解き放たれる。